浜松市で今、もっとも勢いのあると言われる福祉の企業、「ヒーリングハート」と「咲夢来」。その代表である金島隆裕氏と齊藤良尚氏に、なぜ福祉事業に参入したのか、その理由や福祉の現場の今、そして今後の展望について、存分に語り合っていただいた。
(2019年1月実施)
●株式会社ヒーリングハート 代表取締役 金島隆裕
●合同会社咲夢来 代表取締役 齊藤良尚
—————まずはおふたりの会社について、教えてください。
金島:2014年、就労継続支援A型の「り楽すわーく」、それとほぼ同時に相談支援事業所「こもれび」を開設しました。
あとは「ピュアハーツ」という放課後等デイサービスも同じく2014年ですね。
同じ年に3つ開設し、そこから事業を拡げ、今に至っています。今、従業員は60人くらいいます。
齊藤: 「咲夢来」の事業内容も多岐にわたります。
「咲夢来」はひとことでいうと、介護事業を行う会社です。
指定訪問介護事業所(障がい福祉、介護保険事業)として障がい者の方や高齢の方へのヘルパーの派遣、介護タクシー、飲食店( 就労継続支援A型事業所予定)などの事業を行っています。
—————福祉の仕事をしようと思ったのはなぜですか?理由を教えてください。
金島:少し遠回りになるかもしれませんが、いいですか?
もともと僕は証券業界におりまして、業界で働いていたとき、3回ほど心を病んだことがありました。僕の場合、重圧とプレッシャーで発症したのですが、どこにも逃げ場がなくて、辛かったですね。
現在の会社を起こす前にも、精神科医にかかっていました。精神安定剤を服用したり、カウンセリングを受けたり、いろいろしていました。
ただ、自分自身もそうですし、病院でいろいろな患者さんを見て、「心の病気があるんだな」と実感できたことは大きかったです。
ちょうどその頃、名古屋の知人が(就労継続支援)A型(事業所)をやっていまして、そこに来ている利用者の精神障がい者の方たちに会ったこともタイムリーでした。
知人に「どういう仕組みなの?」と訊いたら、「彼らは一般の就労ができるよう、就労継続支援というものを利用して、いわゆる社会に復帰するために働いている」ということでした。
障がい者は、大体、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者の3つの分類になります。
身体(障がい者)と知的(障がい者)については、ある程度理解ができる方でも、精神障がい者については、「こわい」と思う人もいて、世間の受け入れが厳しい。刑事事件に至った例などもありますし、いわゆる”壁”がありますよね。かつては僕もそんな”壁”を持っていたかもしれない。
でも、前述した就労継続支援A型事業所を開いている僕の知人は、実にフレンドリーに精神障がい者と接していました。
お互い笑顔で付き合っているところを見て、はっと気づきました。
「人間と人間、心と心の付き合いをして言葉のキャッチボールをすれば、人って通じる、変わるんだな」と思ったんです。
僕も精神科にかかっている時期に人の優しさに触れてジーンとすることがあったので、対人のコミュニケーションの大切さは実感していました。
なので「やってみようかな」と思ったんです。5年前の2014年当時、在住していた名古屋には、すでにA型事業が多く、浜松はまだ少なかったものですから、この地でやってみようという気持ちになりました。
————開設されてみていかがでしたか?
金島:開設してみたら、最初はひとり、ふたりの利用者しか集まらなくて。
でもその利用者が……、なんというか、かわいくて(笑)。僕は当時45歳。利用者は40代が多かったかな。
銀行員や名門高校出身の方など、頭の良い方が世の中の壁にぶち当たったという印象でした。
理屈で人間関係を構築しようとして、回路が故障してしまったのかな、と思いました。
接しているとかわいくて、かわいくて、「何とかこういう人たちの力になりたい」という気持ちになりました。
それが始まりです。
始めたら利用者さんが自然と集まってきました。
子どもの放課後事業も必要だろうということで、「ピュアハーツ」をスタートしたところ、子どもの利用者さんは、更にかわいくて(笑)。こんなにかわいいものかと思いました。
「この子たちのために何かできることはないかな」という思いで、いろいろなビジョンが生まれました。まだ行ったことのないところへ連れて行ってあげたいとか、パソコン教室でパソコンを覚えてもらいたいとか。今はヒップホップスタジオまでやっています。
思いが結実して、おかげさまで今は5事業所にまでなってきています。
————以上、金島さんに「ピュアハーツ」の成り立ちについて伺いました。
続く第2回では、「咲夢来」の成り立ちについて、齊藤さんに伺います。
(第2回に続く)
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